2008 |
04,12 |
«俺色7»
大根、人参に白葱と蒟蒻で……鶏肉か豚肉か、まぁあるほうを入れればいいかとばかりに俺は野菜を刻みだした。それ以外は――、
包丁を持つ手はそのままに考える。白飯と漬物、メインが……、
「冷凍イカがあったでしょ?」
俺の思考に割って入ってきたのは、買い物袋を片手に台所に顔を覗かせた南都だ。
「よ、お帰り」
ひょっこりと暖簾から顔を出している南都は、ただいまと言いつつ台所へと入ってくる。
「今日は早いな」
「うん、まー試験もあと一つだしね」
南都は今時の女子大生ではあるが、親が親だけあって苦労してきたのかたいしてチャラチャラした感じはない。今日だって勉強してから帰ると言っていた。
「食事できるまで部屋で勉強してても構わないぜ?」
「……うん」
俺の野菜を刻むリズムは相変わらず、ただいつもと違うのは――、
「南都?」
俺は振り向いた。
南都は俺をまじまじと見ていた。
「……なんだよ」
「…………」
物言いたげな視線が俺の眉間に皺を寄せさせた。
「千秋って――」
「ん?」
続きを言いそうな口は空気を吐き出さない。待っている間にその口はゆっくりと閉じられ、言葉の代わりに溜め息が吐かれた。
一体なんなんだ?
何でもないと首を振る南都に対してますます俺の眉間の皺は深くなる。
「……言ってみろよ?」
「ん、いいんだ」
「だから、何なんだよ」
「いいんだって、ほら千秋って霊感ないでしょ?」
……は?
「だから、いいんだっていくら代理住職ってもできることとできないことがあるからね」
着替えてくると出ていった南都をひたすら俺は呆然と見送った。
包丁を持つ手はそのままに考える。白飯と漬物、メインが……、
「冷凍イカがあったでしょ?」
俺の思考に割って入ってきたのは、買い物袋を片手に台所に顔を覗かせた南都だ。
「よ、お帰り」
ひょっこりと暖簾から顔を出している南都は、ただいまと言いつつ台所へと入ってくる。
「今日は早いな」
「うん、まー試験もあと一つだしね」
南都は今時の女子大生ではあるが、親が親だけあって苦労してきたのかたいしてチャラチャラした感じはない。今日だって勉強してから帰ると言っていた。
「食事できるまで部屋で勉強してても構わないぜ?」
「……うん」
俺の野菜を刻むリズムは相変わらず、ただいつもと違うのは――、
「南都?」
俺は振り向いた。
南都は俺をまじまじと見ていた。
「……なんだよ」
「…………」
物言いたげな視線が俺の眉間に皺を寄せさせた。
「千秋って――」
「ん?」
続きを言いそうな口は空気を吐き出さない。待っている間にその口はゆっくりと閉じられ、言葉の代わりに溜め息が吐かれた。
一体なんなんだ?
何でもないと首を振る南都に対してますます俺の眉間の皺は深くなる。
「……言ってみろよ?」
「ん、いいんだ」
「だから、何なんだよ」
「いいんだって、ほら千秋って霊感ないでしょ?」
……は?
「だから、いいんだっていくら代理住職ってもできることとできないことがあるからね」
着替えてくると出ていった南都をひたすら俺は呆然と見送った。
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