2008 |
04,06 |
«俺色続き4»
加藤清正の言い分はこうだ。
『いつまで寝てるつもりじゃ!? こちらは猫の手も借りたいというのに……ッ』
……勝手な言い分である。
『安田はそこにおらんのか!?』
安田と呼ばれるのは千秋さんのことである。東京にくる時は確かに鳥越宅にいることが多いが――、
『安田を出せ!』
今回はいない。出せと言われても、いないものはいないのである。
『いないなら、貴様が手を貸せ!』
……本当に勝手な言い分である。
「俺にどうしろってんだよ……」
安田長秀が――千秋さんが行方不明になったのは昨年のことだ。千秋さんには元々放浪癖のようなものがあった。だから、誰も連絡がとれなくなっても心配せずにいたが、さすがにそれが一ヶ月以上続くと皆が気にし始めた。皮肉なことに心配は闇戦国の後始末が1人足りなくなったことによりとうとう首が回らなくなったのが発端でもあるのだが。
それから千秋さんが行方不明になって早くも三ヶ月近くなる。
隆也は思う。人一人を隠すのにこの東京のみで――否、日本という狭さで十分であるのだと、
「―――千秋さん」
隆也にはまったくと言っていいほど千秋の行方に心当たりはなかった。闇戦国以降、自分が知る限り最も彼とつるんでいたのは自分であったはずなのに――。
彼は隆也が思っているほどに隆也に気を許していなかったのかもしれない。そう考え直すと隆也はいてもたってもいられなくなる。
――大切なものはいつだってそうだ。
「……何処いっちまったんだよ……?」
気がついた瞬間には、既に手のひらから零れ落ちた後なのだ……。
『いつまで寝てるつもりじゃ!? こちらは猫の手も借りたいというのに……ッ』
……勝手な言い分である。
『安田はそこにおらんのか!?』
安田と呼ばれるのは千秋さんのことである。東京にくる時は確かに鳥越宅にいることが多いが――、
『安田を出せ!』
今回はいない。出せと言われても、いないものはいないのである。
『いないなら、貴様が手を貸せ!』
……本当に勝手な言い分である。
「俺にどうしろってんだよ……」
安田長秀が――千秋さんが行方不明になったのは昨年のことだ。千秋さんには元々放浪癖のようなものがあった。だから、誰も連絡がとれなくなっても心配せずにいたが、さすがにそれが一ヶ月以上続くと皆が気にし始めた。皮肉なことに心配は闇戦国の後始末が1人足りなくなったことによりとうとう首が回らなくなったのが発端でもあるのだが。
それから千秋さんが行方不明になって早くも三ヶ月近くなる。
隆也は思う。人一人を隠すのにこの東京のみで――否、日本という狭さで十分であるのだと、
「―――千秋さん」
隆也にはまったくと言っていいほど千秋の行方に心当たりはなかった。闇戦国以降、自分が知る限り最も彼とつるんでいたのは自分であったはずなのに――。
彼は隆也が思っているほどに隆也に気を許していなかったのかもしれない。そう考え直すと隆也はいてもたってもいられなくなる。
――大切なものはいつだってそうだ。
「……何処いっちまったんだよ……?」
気がついた瞬間には、既に手のひらから零れ落ちた後なのだ……。
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