2007 |
11,24 |
«500円玉»
くるくるっと回って降ってきた硬貨をオレは見事片手でキャッチした。
鈍い光を発したその大きめの硬貨はどれだけの人を経由して、回り回ってここまで辿り着いたのだろうか。
まー、そんなセンチメンタルなことなどどーでもいいのだ。
この手のひらの中にあるこれがオレのエネルギー源に化けることが大切なのだ。
(肉まん二個……いや、最大四個は買える……)
その五百円玉を握りしめてオレはコンビニの入り口の前に意気揚々とやってきていた。
食べたいものが食べられる喜び――……。
「肉まんください」
「おいくつですか?」
「四ー……」
………つ。
と、言おうとしてオレは固まった。
肉まんがいっぱい入ったガラスケースの脇に……。
「肉まん二個とピザまん一個と――」
――これください。
店員はにっこり笑ってガラスケースの中の肉まん類を取り出しにかかった。
オレはと言うと、なんだか微妙に落ち着きを失って、自分で会計に持ち込んだ代物をしげしげと見つめた。
アイツはこれを喜んでくれるだろうか。
これを買って戻ってくるなんてアイツは予想しているだろうか。
あの憎たらしい口はどのように動くか興味深かった。
呆れた顔でコインを投げてよこしたアイツ。
どう考えたってアイツはオレをガキだと考えている……!!
そんなアイツの鼻をこれ一つで何故か証せるような気がしてオレはにんまりと知らず笑みを作っていた。
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