2005 |
12,29 |
「…………」
さらりと言われ、思わずスルー仕掛けたが、
「別にあんたが他人の幸福(しあわせ)に貢献しなくってもいいってこと」
今度こそ俺の心臓は高鳴った。見るのが恐い。きっと迷うことなく俺に向けている、その双眸を。
人間は想像以上に――。
いつの時代も気が付かされ、思い知らされ、すぐに忘れてしまうこの事実に。
「俺はこの木と同じか?」
シニカルに笑むはずだったのにまったく笑えはしなかった。
「千秋ってプライド高いよねえ」
呆れたように彼女は俺に告げた。
「自分で分かってて知らないふりするんだから」
「どういう意味だよ……?」
「そのまんまよ。そのまーんま!」
と言った彼女は一歩前に出て、
「もっと素直に生きれば?」
背伸びがてら向き直った。
「…………。俺はいつだって――」
「嘘ばっかり、それのどこが素直だっていうの。この意地っ張り!」
「――――なっ」
「そんな顔で言っても説得力ないし」
「…………」
そうまで言われれば、俺だって黙らざるを得ない。そんな俺を彼女は見つめ続けている。
「笑って――」
真実を。
「嘘をつくのは」
飲み込むのは。
「つらくない?」
「――――……」
ツラクナイ、ワケ、ガ、ナイ――……。
でも、それを引っ括めて――……すべてを――すべてを承知で。俺は。
そう思うのと同時に。
心は破裂しそうなのに。
……――それでも。
「つかなけりゃならない……嘘も、ある」
さらりと言われ、思わずスルー仕掛けたが、
「別にあんたが他人の幸福(しあわせ)に貢献しなくってもいいってこと」
今度こそ俺の心臓は高鳴った。見るのが恐い。きっと迷うことなく俺に向けている、その双眸を。
人間は想像以上に――。
いつの時代も気が付かされ、思い知らされ、すぐに忘れてしまうこの事実に。
「俺はこの木と同じか?」
シニカルに笑むはずだったのにまったく笑えはしなかった。
「千秋ってプライド高いよねえ」
呆れたように彼女は俺に告げた。
「自分で分かってて知らないふりするんだから」
「どういう意味だよ……?」
「そのまんまよ。そのまーんま!」
と言った彼女は一歩前に出て、
「もっと素直に生きれば?」
背伸びがてら向き直った。
「…………。俺はいつだって――」
「嘘ばっかり、それのどこが素直だっていうの。この意地っ張り!」
「――――なっ」
「そんな顔で言っても説得力ないし」
「…………」
そうまで言われれば、俺だって黙らざるを得ない。そんな俺を彼女は見つめ続けている。
「笑って――」
真実を。
「嘘をつくのは」
飲み込むのは。
「つらくない?」
「――――……」
ツラクナイ、ワケ、ガ、ナイ――……。
でも、それを引っ括めて――……すべてを――すべてを承知で。俺は。
そう思うのと同時に。
心は破裂しそうなのに。
……――それでも。
「つかなけりゃならない……嘘も、ある」
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