2005 |
12,31 |
し、死ぬと思うほど、俺は揺さ振られ。
……てんやわんやで大晦日、……で、ある。
勿論、現在、栄明は高野山。ここに残るのは俺と南都だけ。
(……高野の高僧だなんて、聞いてねーぞ……!)
だから、こうして除夜の鐘突きのため俺は準備している。
――読経は大丈夫。合格点だ。
なーにが合格点だ。なーにがッ。
――あとは護摩さえ焚ければ……。
俺は景虎や直江とは違うっつーの!!
本当! 無理を押しつけやがる……と悪態をついてみても。
結局俺はこうして――ここに。
「何? 南都」
着物を整え、息を抜くとちょうど下から覗く目線とかち合った。
「いやー、似合わないなぁと思って……」
「………ッ」
まじまじ眺めて言うな! 俺だって着たくて着てんじゃねえ!
その人の悪い笑みがッ非ッ常ーに腹が立つ!
「あわわわ。待った! 待った! 脱がない。脱がない!」
「髪まで切ったんだぞ……!」
「うん。益々良い男になった!」
笑いながら言われても、
「説得力ねーよ!」
「まあ、そう言わず。あんただけが頼りなんだから!」
「だったら、もっと丁重に扱え」
「なっあーに偉そうに! 居候のくせに!!」
こんな会話は日常茶飯事だ。
「働かざるもの食うべからず!」
さ、行くよと言って彼女は携帯ラジオを片手に俺を誘う。
「おまえこそ、数かぞえ間違えんなよ!」
「誰に言ってんのよ」
あと少しで年が変わる。
「あんたこそ、心して百八つ突きなさいよ! 煩悩だらけなんなだから」
「どういう意味だよ……」
「そのまんまに決まってんじゃない」
彼女はくるりと振り返った。
「ま、いい人生のリハビリには、もってこいじゃない?」
ああ、的を射ているようでそうでないようで。
俺は南都の頭を掴み、前を向かせた。
「バカ。大きなお世話だ」
俺の口元には静かな笑みが分からない程度に。
外に出れば、澄んだ空気に雲一つない空。
俺はこうしてここに存在る。
今はそれで――……十分、だ。
「南都。しっかり伝えろよ」
新年になる瞬間を。
新たな始まりに、
今度は俺自身の幸福せを、
――考えよう。
……てんやわんやで大晦日、……で、ある。
勿論、現在、栄明は高野山。ここに残るのは俺と南都だけ。
(……高野の高僧だなんて、聞いてねーぞ……!)
だから、こうして除夜の鐘突きのため俺は準備している。
――読経は大丈夫。合格点だ。
なーにが合格点だ。なーにがッ。
――あとは護摩さえ焚ければ……。
俺は景虎や直江とは違うっつーの!!
本当! 無理を押しつけやがる……と悪態をついてみても。
結局俺はこうして――ここに。
「何? 南都」
着物を整え、息を抜くとちょうど下から覗く目線とかち合った。
「いやー、似合わないなぁと思って……」
「………ッ」
まじまじ眺めて言うな! 俺だって着たくて着てんじゃねえ!
その人の悪い笑みがッ非ッ常ーに腹が立つ!
「あわわわ。待った! 待った! 脱がない。脱がない!」
「髪まで切ったんだぞ……!」
「うん。益々良い男になった!」
笑いながら言われても、
「説得力ねーよ!」
「まあ、そう言わず。あんただけが頼りなんだから!」
「だったら、もっと丁重に扱え」
「なっあーに偉そうに! 居候のくせに!!」
こんな会話は日常茶飯事だ。
「働かざるもの食うべからず!」
さ、行くよと言って彼女は携帯ラジオを片手に俺を誘う。
「おまえこそ、数かぞえ間違えんなよ!」
「誰に言ってんのよ」
あと少しで年が変わる。
「あんたこそ、心して百八つ突きなさいよ! 煩悩だらけなんなだから」
「どういう意味だよ……」
「そのまんまに決まってんじゃない」
彼女はくるりと振り返った。
「ま、いい人生のリハビリには、もってこいじゃない?」
ああ、的を射ているようでそうでないようで。
俺は南都の頭を掴み、前を向かせた。
「バカ。大きなお世話だ」
俺の口元には静かな笑みが分からない程度に。
外に出れば、澄んだ空気に雲一つない空。
俺はこうしてここに存在る。
今はそれで――……十分、だ。
「南都。しっかり伝えろよ」
新年になる瞬間を。
新たな始まりに、
今度は俺自身の幸福せを、
――考えよう。
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