2005 |
12,30 |
「あああ!」
なんで俺がッと吠えれば、すかさず、すぱこーんと軽い打撃を後頭部に受けて俺は恨めしげに振り返った。
「つべこべ言わず、さっさと着替える!」
背後から俺の頭をはっ叩いたのは、この寺の住職の一人娘――和田南都だ。
「新年まで一時間切ってんだから!」
「…………」
と言いつつ、叩くのに使ったであろうカイロを俺の背へとべたべたと貼り、
「今日は寝れないからね! しっかり頼むわよ! 代理住職!」
ドンと俺の背を押した。
馬鹿力め……! と恨めしく振り返ようにも、今度は降ってきた袈裟によって視界を奪れて……。
仕方なく! 俺は、渋々! 袈裟を手に取り、ひっ被った。
「………」
あの日。クリスマス・イヴのあの夜――。
家に帰りついてみれば……。
玄関のシルエットに仁王立ちした人形(ひとがた)があった。
玄関をガラガラと開けてみれば――案の定だ。
……青筋立てた南都の父、この寺の住職こと栄明が立っていた。
いや、まあ、やましいことなど俺に何一つない。当然だ。
南都とは買い物に出て夕食をとり、少し長引いたがクリスマス・イルミネーションを見てきただけなのだから。
だからといって、朝帰りとまではいかなくとも、深夜零時を過ぎて帰れば――……。
俺と南都は居間に促されて、栄明の前に二人並んで正座させられた。
お前達分かってんだろうな、という視線に俺も南都も明後日の方向を向いている。言い訳するつもりはないが、反省するつもりもない俺たちに先に折れたのはやはり、栄明のほうであった。
「千秋くん、南都。よく聞きなさい」
「…………」
「――実は、……明日から高野に行くことになった」
なんで俺がッと吠えれば、すかさず、すぱこーんと軽い打撃を後頭部に受けて俺は恨めしげに振り返った。
「つべこべ言わず、さっさと着替える!」
背後から俺の頭をはっ叩いたのは、この寺の住職の一人娘――和田南都だ。
「新年まで一時間切ってんだから!」
「…………」
と言いつつ、叩くのに使ったであろうカイロを俺の背へとべたべたと貼り、
「今日は寝れないからね! しっかり頼むわよ! 代理住職!」
ドンと俺の背を押した。
馬鹿力め……! と恨めしく振り返ようにも、今度は降ってきた袈裟によって視界を奪れて……。
仕方なく! 俺は、渋々! 袈裟を手に取り、ひっ被った。
「………」
あの日。クリスマス・イヴのあの夜――。
家に帰りついてみれば……。
玄関のシルエットに仁王立ちした人形(ひとがた)があった。
玄関をガラガラと開けてみれば――案の定だ。
……青筋立てた南都の父、この寺の住職こと栄明が立っていた。
いや、まあ、やましいことなど俺に何一つない。当然だ。
南都とは買い物に出て夕食をとり、少し長引いたがクリスマス・イルミネーションを見てきただけなのだから。
だからといって、朝帰りとまではいかなくとも、深夜零時を過ぎて帰れば――……。
俺と南都は居間に促されて、栄明の前に二人並んで正座させられた。
お前達分かってんだろうな、という視線に俺も南都も明後日の方向を向いている。言い訳するつもりはないが、反省するつもりもない俺たちに先に折れたのはやはり、栄明のほうであった。
「千秋くん、南都。よく聞きなさい」
「…………」
「――実は、……明日から高野に行くことになった」
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