2005 |
12,27 |
一言で言えば、居心地が良かったのである。
だから、居座った。
「…………」
ここに、留まることを決めたのは、気紛れにすぎなかった。けれど、そうなることは案外必然だったのかもしれないと今は思っている。
俺は瞳を細めた。
行く道を飾るイルミネーションがちらちらと点灯しだして、人々の目線が泳ぐ。歓声を上げる人、指を差す人、駆け寄る子供――。
俺が欲していたものは何なのだろうか。
あの時から俺は考え続けている。あの日からずっと――……。そうずっと……。
考えなかった時は唯一、今では日課と化したお経を上げている時ぐらいだ。まーこんな日が来るとは思いもよらなかったが。その時ばかりは考えている余裕はない。いくら仏と契っていようと、日常使っていなけりゃ忘れるものだ。だから、何百年ぶりの読経は悪戦苦闘もいいところなのである。
けれど、それ以外の時は、そう、酒に興じていようと何をしていようと寝るとき、……夢でさえも頭からそのことはそう簡単に離れてはくれなかった。
俺が欲していたものは何なのだろうか。俺は何を欲したのか。俺は彼に……何を、
――何を、望んだのか。
「――――……」
俺が望むことなんて――。
彼の、幸福(倖せ)には代えられない。
けど、想いは――……!
――馬鹿ッ 千秋!
前を行く少女。
――働かざるもの食うべからず!
柱にもたれて座る俺の眼前で仁王立ちした少女。
彼女がいなかったら――。
だから、居座った。
「…………」
ここに、留まることを決めたのは、気紛れにすぎなかった。けれど、そうなることは案外必然だったのかもしれないと今は思っている。
俺は瞳を細めた。
行く道を飾るイルミネーションがちらちらと点灯しだして、人々の目線が泳ぐ。歓声を上げる人、指を差す人、駆け寄る子供――。
俺が欲していたものは何なのだろうか。
あの時から俺は考え続けている。あの日からずっと――……。そうずっと……。
考えなかった時は唯一、今では日課と化したお経を上げている時ぐらいだ。まーこんな日が来るとは思いもよらなかったが。その時ばかりは考えている余裕はない。いくら仏と契っていようと、日常使っていなけりゃ忘れるものだ。だから、何百年ぶりの読経は悪戦苦闘もいいところなのである。
けれど、それ以外の時は、そう、酒に興じていようと何をしていようと寝るとき、……夢でさえも頭からそのことはそう簡単に離れてはくれなかった。
俺が欲していたものは何なのだろうか。俺は何を欲したのか。俺は彼に……何を、
――何を、望んだのか。
「――――……」
俺が望むことなんて――。
彼の、幸福(倖せ)には代えられない。
けど、想いは――……!
――馬鹿ッ 千秋!
前を行く少女。
――働かざるもの食うべからず!
柱にもたれて座る俺の眼前で仁王立ちした少女。
彼女がいなかったら――。
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