2005 |
12,21 |
「!」
ああ……そうだ。俺は下唇を噛み締めた。
何故って――……。
「まあ、答えを急ぐものではないさ」
「…………」
「いたいだけいればいい。それに??」
――仏様の眷属さんを無訝にはできないからなあ。
「! ……――あんた」
「ま、そういうことだ。朝のお勤めとコレに付き合ってくれるなら――」
住職は徳利を掲げてにぃと笑ってみせて、
「三食昼寝つき。そう悪い条件じゃないだろう?」
この台詞……。
俺はなんとも言えず、口を閉じた。
これでも永いこと生きている。世の中には、……こういう人物も、いる、ことは知っているが。
「……あんた何者だよ」
「しがない住職さ」
「んなわきゃねぇだろうが」
今度、お猪口に酒を注ぐのは俺の番だった。
「売り渡すような真似されるのはゴメンだぜ」
「するなら、もうやってる」
確かにその通りである。
相手は余裕シャクシャクで俺の酌を受けて飲み干した。
(ああ、やはりこの人物――)
予感的中といったところだろう。
「ああ、けど娘に手を出したら突き出すからな」
「娘いるのか? だったらあんたは本当の変わり者だよ。うら若き女と男を一つ屋根の下に住まわせるんだから」
「二人じゃない。俺もいる」
俺はぷっと吹き出してしまった。
だって、そうだろう?
それはまさしく父親の顔だ。本当に心配している。なのにふんぞり返っているのだ。
(止めときゃいいのに)
「何がおかしい……?」
「いや、別に」
「親バカだと言いたいんだろう……?」
住職の目は俺を捉えて据わっていた。
この住職が親バカの何が悪い! と続けてくるのは予想もできたし、その会話に乗りたい自分に気が付いてしまえば、自然と口許が緩んだ。
「娘さん。あんたに似てないことを祈ってるよ」
ああ……そうだ。俺は下唇を噛み締めた。
何故って――……。
「まあ、答えを急ぐものではないさ」
「…………」
「いたいだけいればいい。それに??」
――仏様の眷属さんを無訝にはできないからなあ。
「! ……――あんた」
「ま、そういうことだ。朝のお勤めとコレに付き合ってくれるなら――」
住職は徳利を掲げてにぃと笑ってみせて、
「三食昼寝つき。そう悪い条件じゃないだろう?」
この台詞……。
俺はなんとも言えず、口を閉じた。
これでも永いこと生きている。世の中には、……こういう人物も、いる、ことは知っているが。
「……あんた何者だよ」
「しがない住職さ」
「んなわきゃねぇだろうが」
今度、お猪口に酒を注ぐのは俺の番だった。
「売り渡すような真似されるのはゴメンだぜ」
「するなら、もうやってる」
確かにその通りである。
相手は余裕シャクシャクで俺の酌を受けて飲み干した。
(ああ、やはりこの人物――)
予感的中といったところだろう。
「ああ、けど娘に手を出したら突き出すからな」
「娘いるのか? だったらあんたは本当の変わり者だよ。うら若き女と男を一つ屋根の下に住まわせるんだから」
「二人じゃない。俺もいる」
俺はぷっと吹き出してしまった。
だって、そうだろう?
それはまさしく父親の顔だ。本当に心配している。なのにふんぞり返っているのだ。
(止めときゃいいのに)
「何がおかしい……?」
「いや、別に」
「親バカだと言いたいんだろう……?」
住職の目は俺を捉えて据わっていた。
この住職が親バカの何が悪い! と続けてくるのは予想もできたし、その会話に乗りたい自分に気が付いてしまえば、自然と口許が緩んだ。
「娘さん。あんたに似てないことを祈ってるよ」
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