2005 |
12,20 |
俺はふと閉じた瞳を開けた。
「…………」
なぜ開けたかというと――、
「……ッくしょんッ」
……寒かったからである。しかし、起きて正解であった。もう太陽は傾き、空は茜色にうっすらと染まり初めていた。これから冬になろうしている季節だ。いくら小春日和だろうと、夕方になれば寒い。
けれど、俺の頭はまだ寝ていた。
「……ここ」
(――どこだ?)
周囲を見渡せばあまり見覚えのない景色が広がっている。俺は戸惑いながら上半身を起こすと、ふぁさりと俺の肩から何かが落ちた。
「…………」
拾い上げてみると、それは男物のジャンパーだった。
「……? なんだこれ」
疑問符のとおりそれは俺のものではない。なぜ俺にかかっているのか。まぁ、寝ている間に親切な誰かがかけてくれたに違いないのだが。
誰だ? と眉をひそめていたその時、
「そんなところで寝てると風邪を引いたでしょう」
「!」
背後の声に俺はぎょっと振り返った。
「…………」
にこにこした作務衣姿の、たぶんこの寺の住職が立っていた。
「引かなかったかい?」
「……」
なんと答えていいものやら。まだ寝ているらしい俺の頭は答えを引き出せないでいるうちに、
「まぁ、寒いから上がりなさい」
と、言ってささっと母屋へ行ってしまった。
「…………」
俺が付いてくるかも分からないのに、である。
「――なんだかなぁ」
俺は髪をかきあげつつ、だが、付いて行くことに決めた。それはちょっとした気紛れだ。付いて行ってもいいかな、そんな気分だったからである。
「…………」
なぜ開けたかというと――、
「……ッくしょんッ」
……寒かったからである。しかし、起きて正解であった。もう太陽は傾き、空は茜色にうっすらと染まり初めていた。これから冬になろうしている季節だ。いくら小春日和だろうと、夕方になれば寒い。
けれど、俺の頭はまだ寝ていた。
「……ここ」
(――どこだ?)
周囲を見渡せばあまり見覚えのない景色が広がっている。俺は戸惑いながら上半身を起こすと、ふぁさりと俺の肩から何かが落ちた。
「…………」
拾い上げてみると、それは男物のジャンパーだった。
「……? なんだこれ」
疑問符のとおりそれは俺のものではない。なぜ俺にかかっているのか。まぁ、寝ている間に親切な誰かがかけてくれたに違いないのだが。
誰だ? と眉をひそめていたその時、
「そんなところで寝てると風邪を引いたでしょう」
「!」
背後の声に俺はぎょっと振り返った。
「…………」
にこにこした作務衣姿の、たぶんこの寺の住職が立っていた。
「引かなかったかい?」
「……」
なんと答えていいものやら。まだ寝ているらしい俺の頭は答えを引き出せないでいるうちに、
「まぁ、寒いから上がりなさい」
と、言ってささっと母屋へ行ってしまった。
「…………」
俺が付いてくるかも分からないのに、である。
「――なんだかなぁ」
俺は髪をかきあげつつ、だが、付いて行くことに決めた。それはちょっとした気紛れだ。付いて行ってもいいかな、そんな気分だったからである。
PR
Post your Comment
カレンダー
ブログ内検索
カテゴリー
アーカイブ
フリーエリア
最新CM
最新TB
最古記事
(09/03)
(09/04)
(09/04)
(09/05)
(09/05)
アクセス解析