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だ、駄文

二次創作のくだらない駄文置き場
2024
05,14

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2005
04,06
押し黙り、
深く息を吐いた。
「――……分からない」
だけど、
「そんな――……」
――気がする。
「ふーん?」
「すみませーん。注文入りまーす!桜カクテルとー……」
「!」
二人はばっと声の主へと注意を寄せた。
「……。りょーかい!」
バーテンダーを務める青年は返事を返して、またも目を瞠る同僚を尻目に用意に取り掛かる。

――『桜』……。

「村井」
「ん?」
「今日は何日だ?」
用意をし始める青年にちらりと視線をやって。聞かれたほうは視線をさ迷わせ、
「四月一日。――エイプリルフール、だな」
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2005
04,06
二十代半ば、外見の軽いイメージから想像もつかないほど、渋い注文が多くて意外だったが、
「やけに女にモてそうな客だった……」
事実ゆったりと座高の高い椅子に腰かける男へは始終、黄色い視線が注がれていた。
モてない男はつらい、といかにもな同僚の態度に青年はくすりと笑んで何気なくボトルにかけられた二枚の札を裏返した。
「!」
その妙な沈黙にバーテンダーはグラスを拭く手を止めた。
「――……ぁき」
青年の引き締まった口からポロリと言葉が雫れ落ちて、
「知り合い?」
その問いに青年は一度何か言おうとしたが、
2005
04,05
「はは…こればかりは仕方ない」
性分だよ、と青年は腰にエプロンをさっさと巻き付けだす。――だが、
だしぬけに手が止まった。
「?」
「――これは」
バーテンダーもその手を休めて青年の見るものへと視線をやれば、レジスターの隣、
そこには――、

一本のボトル。

「あ――……」
そういえば、キャッシャーの店員に、キープ棚に閉まっておいてくれと言われていた。
「まだ開封されてないな」
青年の手がボトルに伸びる。
「帰り際に、ね。新規のお客さんの」
その客はやけに人目を引いた客だった。
2005
04,05
――ま、あそこにもここにもまだまだ手のかかる奴がいるし――、
(しゃーないから、
生きてやるさ)

それに――、

  ※  ※  ※

カランカランー……
「よ、お帰り。マスター」
やけにわざとらしいらしい言い回しに男は苦笑して応えた。
「ただいま」
マスターと呼ばれたその二十代後半の青年だ。抱えていた荷物をカウンターに置くと辺りを見回して。
「変わったことは――」
「ないない」
至って平和で、と答えながらバーテンダーの手は止まらずグラスを拭いている。
「そうか…」
「まったく買い出しなんか俺達に任せればいいのに」
2005
04,05
「何でーぇぇえ!?」
木霊する絶叫。
笑う俺様。
俺はくっと口許を引き締め、行く未来(みち)を見据えた。

大丈夫だ。

過去も未来も見失っちゃいない。
「――……」
風がそよぐ。
「千秋さん?」
「何だ?鳥越」
二人の間を優しく通り抜けて行く。
今も昔も変わらず俺は俺で。
不思議そうに見上げてくる相手に対して俺の視線は自ずと緩む。
「おら!行くぞ!」
俺は踵を返した。
(つーか、ここまで来たら今更だろ)

『千秋修平』

この名は捨てられない。
俺が俺である限り、

――『千秋修平』として、

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