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だ、駄文

二次創作のくだらない駄文置き場
2024
11,27

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2008
04,09

«俺色6»

 欠伸がゆっくりと出せるほど、のどかな日々が続いていた。
 大晦日から始まり、元旦と寺院としての行事が終わって久しい。まだ、この寺の住職は高野山から戻らず、俺の代理住職は続行中だったりするが、まぁ平和に節分の用意を日がな1日するのが最近の日課だ。
「――ふぁぁ……ぁ」
 節分の用意と言っても檀家を少しもって細々と経営を成り立たせている寺院ではたいしてやることはない。ただ、住職の娘である南都が口煩いから言われたことをやっているだけだ。本当にのんびりと暮らしているにすぎない。社会復帰へのリハビリ中の身体には最適と言えよう環境に眠気も催すというもの。
 俺は大きく伸びをしてそろそろ南都が帰ってくる時間かな、など何気なく壁時計を見るのも日課になりかけている。
 戦闘、戦闘の日々も肉体的にはつらいが、日がな一日独りでボーッとしているのも精神的にツラい。ただこの家にいれば南都というスパイスが自分の身体に降りかかってくるので、精神不衛生は免れている。
 本当に捨てる神があれば拾う神があるものだ。
「よいしょっと……」
 午後のお勤めもそこそこに俺は立ち上がった。夕飯の仕度でもするかな、と。
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2008
04,07

«俺色5»

 ――というわけで、

 T大学へ、
(……来てしまった)
 ――鳥越隆也であった。 それも明日落とせない試験があるというのに……、

 宛てどもなく、千秋修平を捜すよりも加藤清正が言う今回の事件を自分自身で解決したほうが手っ取り早いと踏んだからである。……あくまで隆也自身でどうにか解決できる範囲であ、れ、ば、の話であるのだが。
「…………」
 隆也は眉間に皺を寄せた。
 あまりの霊障の悪さは裏四国の地に近い。裏四国のように呪術で作為的に作られた霊場ではないので質の悪い混沌とした霊気がマーブル状に澱んでいる。
(何なんだよ! ここは!?)
 都内でここまで酷い場所はそうはない。
 隆也がそのような感想を持つのも最もなのである。直江を筆頭として清正、赤鯨衆が後始末に奔走している。ここまで酷い状況になるまで放ったらかしにされることはそうない。そうないとは言うが――、
(……気持ち悪ィ……)
 これが千秋が――安田長秀が抜けた穴なのだろう。
 隆也は明日試験だというのにこの悪臭を我慢して霊査を進めた。自分の健康問題よりもこの状況を少しでも早く打開しないと大変なことになるのは火を見るより明らかだった。
2008
04,06
 加藤清正の言い分はこうだ。
『いつまで寝てるつもりじゃ!? こちらは猫の手も借りたいというのに……ッ』
 ……勝手な言い分である。
『安田はそこにおらんのか!?』
 安田と呼ばれるのは千秋さんのことである。東京にくる時は確かに鳥越宅にいることが多いが――、
『安田を出せ!』
 今回はいない。出せと言われても、いないものはいないのである。
『いないなら、貴様が手を貸せ!』
 ……本当に勝手な言い分である。
「俺にどうしろってんだよ……」
 安田長秀が――千秋さんが行方不明になったのは昨年のことだ。千秋さんには元々放浪癖のようなものがあった。だから、誰も連絡がとれなくなっても心配せずにいたが、さすがにそれが一ヶ月以上続くと皆が気にし始めた。皮肉なことに心配は闇戦国の後始末が1人足りなくなったことによりとうとう首が回らなくなったのが発端でもあるのだが。
 それから千秋さんが行方不明になって早くも三ヶ月近くなる。
 隆也は思う。人一人を隠すのにこの東京のみで――否、日本という狭さで十分であるのだと、
「―――千秋さん」
 隆也にはまったくと言っていいほど千秋の行方に心当たりはなかった。闇戦国以降、自分が知る限り最も彼とつるんでいたのは自分であったはずなのに――。
 彼は隆也が思っているほどに隆也に気を許していなかったのかもしれない。そう考え直すと隆也はいてもたってもいられなくなる。
 ――大切なものはいつだってそうだ。
「……何処いっちまったんだよ……?」
 気がついた瞬間には、既に手のひらから零れ落ちた後なのだ……。
2008
04,03
「それで――」
 ――千秋さんとはどうなのよ?
「…………」
 またその話か、と南都はげんなりとクリームコロッケに向かった箸を休めた。
「何もないって、たまに喧嘩はするけど」
 ――仲良くやっている。 けど――の続きなんて言った日には千尋を喜ばせるだけなので、南都は口が避けても言わないが、
「ふーん?」
「……何よ?」
「何でもないよ」
 何でもないような顔には到底見えない。
「いや、仲良くやってるんだな、と」
「…………」
「図星か」
 そんな楽しそうな顔をしなくてもいいのに、と南都は思うが、近所では似合いの若夫婦と呼ばれたり、千秋がたまに大学へ南都を迎えに来ると南都は羨望の眼差しを浴びている。
 けれど、至って当事者の本人たちは気にしていない。
「――否定は……しないわよ」
「まーまーそんな表情せずに」
 誰も責めないから~、
「千尋」
「あはは、それでね」
「……何?」
「T大学」
「佐々木さんの大学?」
 南都は駿巡したが――、
「それがどうしたの?」
 千尋は一口水を飲んだ。
「んー、なんか大変なことになってるみたいよ!」
 南都は思った。この先の話を聞くべきかどうか――。
 何故迷ったかと言えば――どうせろくでもないことだろうと南都の第六感が訴えるからだ。
2008
04,01
 正月明けの大学は、世間一般で考えられているより学生で賑わっている。その理由は勿論、単位取得の行動であり、普段、真面目に講義に参加している学生には甚だ鼻白む理由はなのだが、それはそれでこの時期の大学の風物詩である。
「南ー都」
 机に向かう和田南都へ甘い声音で呼びかけたのは、南都の学友である片岡千尋だ。
「あと一試験……!」
 暗に自力で試験に通れと言ったのだが。千尋は南都の前に来るなり悠然と座った。
「南都ご飯は?」
「……まだだけど」
 千尋は顔を上げた南都に対して絵に描くような裏のある笑みを浮かべた。
 こういう表情の作り方はあの居候と良く似ていると南都は嫌々に思った。
「それじゃ私が奢るねー」
 何がいい? なんて言うからには南都の講義録が目当てで、千尋は自力で試験に通る気はないのだろう。南都は嘆息がてらシャープペンシルから手を離した。
「A定食にショコラケーキとドリンクセットで」
「……あんた、私の財布の中身分かってる……?」
 今度は真顔な千尋とは逆に南都が不敵な笑みを浮かべる番であった。

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