2009 |
05,26 |
«俺色20»
(――復帰?)
そんな言葉が俺の頭にふと浮かんだが……、釈然としない。
俺の周囲にいた連中のように存在意義など重要視しないが、俺の存在るべき場所はココではないことは解っている。
それじゃ、本来、存在るべきところに戻るという話になるのか――?
……それも違う。
存在する場所――存在すべき場所は……自分で見つけ、自分で確保する。
――いや、その前に本当はこの社会には存在すら許されていない。
それでも存在し続けようとすれば……、
「……仕方ねぇよな」
俺は前髪を掻きあげた。
今までとは違う短い髪の感触に過去はない。
……細かいことに拘っていたって仕方がない。
「今日中に一回行っておくか……」
俺は溜め息とともに結論を風にのせた。
そんな言葉が俺の頭にふと浮かんだが……、釈然としない。
俺の周囲にいた連中のように存在意義など重要視しないが、俺の存在るべき場所はココではないことは解っている。
それじゃ、本来、存在るべきところに戻るという話になるのか――?
……それも違う。
存在する場所――存在すべき場所は……自分で見つけ、自分で確保する。
――いや、その前に本当はこの社会には存在すら許されていない。
それでも存在し続けようとすれば……、
「……仕方ねぇよな」
俺は前髪を掻きあげた。
今までとは違う短い髪の感触に過去はない。
……細かいことに拘っていたって仕方がない。
「今日中に一回行っておくか……」
俺は溜め息とともに結論を風にのせた。
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2009 |
04,18 |
«俺色19»
「さて、どうすっかな……」
場所は大学――……。
行くなら……早いほうがいいだろう。
南都からの話によるとかなり霊障が激しいらしい。原因となっている医学部棟はおろか、その外部敷地までに霊障は及んでいるという。
(それをアイツらが放置してるなんて――)
――ありえない、……か、と考えたことに可笑しくて俺は苦笑を浮かべた。
数ヶ月前まで半端ではない多忙さで怨霊駆除に奔走していた。
自慢じゃないがアイツらにとって俺の存在は大きかっただろう。
「ふぅ……」
俺は今日、何度目か分からない溜め息を吐きだした。
場所は大学――……。
行くなら……早いほうがいいだろう。
南都からの話によるとかなり霊障が激しいらしい。原因となっている医学部棟はおろか、その外部敷地までに霊障は及んでいるという。
(それをアイツらが放置してるなんて――)
――ありえない、……か、と考えたことに可笑しくて俺は苦笑を浮かべた。
数ヶ月前まで半端ではない多忙さで怨霊駆除に奔走していた。
自慢じゃないがアイツらにとって俺の存在は大きかっただろう。
「ふぅ……」
俺は今日、何度目か分からない溜め息を吐きだした。
2009 |
04,04 |
«俺色18»
皆が必死で――……助けたい人達が助けられず、どうやっても助けられず……それどころか隆也はその時、犠牲を払われて助けられる側だった。
あの悔しさと無力さは重い枷となっていまだに隆也の手と足を繋いでいる……。
「あのー」
「大丈夫、そんな顔するな」
――人間、そんなに簡単には死なないよ。
隆也は目を見開いた。
重なる記憶――。
(この人は――)
隆也は思わず、目を見張った。
かつて隆也自身が肌で感じた生者と死者の間の世界。
「悪いが……」
――肩を貸してくれないか?
穏やかな眼差しと物言い。反するように存在する笑顔――……。
それは誰しもが持ち合わせているものではない。
隆也は迷わず、この青年に手を差しのべた。
あの悔しさと無力さは重い枷となっていまだに隆也の手と足を繋いでいる……。
「あのー」
「大丈夫、そんな顔するな」
――人間、そんなに簡単には死なないよ。
隆也は目を見開いた。
重なる記憶――。
(この人は――)
隆也は思わず、目を見張った。
かつて隆也自身が肌で感じた生者と死者の間の世界。
「悪いが……」
――肩を貸してくれないか?
穏やかな眼差しと物言い。反するように存在する笑顔――……。
それは誰しもが持ち合わせているものではない。
隆也は迷わず、この青年に手を差しのべた。
2009 |
03,15 |
«俺色17»
本当に焦った……と言いながら青年は息を大きく吐き出して。
「……すみません、て大丈夫ですか!?」
「――ッ……」
隆也は慌てて、青年を支えた。起き上がろうとした青年の顔が苦痛に歪んでいる。隆也の腕にかかる体重はかなり重い。よく考えれば階段を転げ落ちて無事な人間なんてそうそういるはずもないのだ。それも他人を庇っての転倒をして。
「悪いね……」
隆也は青年を抱き起こして、壁に凭れかけさせた。 青年は何度かゆっくりと大きく胸に空気を送り込み、殊更ゆっくりと吐き出した。その仕草がどうにも隆也はいたたまれない。まるで死を目前にした人のようで……あの――悪夢にも近い闘イを思い出してならない。
「……すみません、て大丈夫ですか!?」
「――ッ……」
隆也は慌てて、青年を支えた。起き上がろうとした青年の顔が苦痛に歪んでいる。隆也の腕にかかる体重はかなり重い。よく考えれば階段を転げ落ちて無事な人間なんてそうそういるはずもないのだ。それも他人を庇っての転倒をして。
「悪いね……」
隆也は青年を抱き起こして、壁に凭れかけさせた。 青年は何度かゆっくりと大きく胸に空気を送り込み、殊更ゆっくりと吐き出した。その仕草がどうにも隆也はいたたまれない。まるで死を目前にした人のようで……あの――悪夢にも近い闘イを思い出してならない。
2009 |
02,17 |
«俺色16»
隆也は飛び退いて振り返った。すると、隆也が下敷きにしていた人間――男性と目があって、
「そのぶんじゃ怪我ないな?」
隆也はどきりとした。
短髪の、年齢は二十代半ばか?後半だろうか?
とても落ち着いた雰囲気が男性の周囲を取り巻いていて……。
隆也は気後れしながらも、なんとか返事を返した。
「廊下は走らないって習わなかったか?」
隆也を責めているというより事務的な口調で彼は言い、大きく息を吐いた。
「……すみません」
案の定、青年は想像につく笑みをこぼして、
「いきなり走り出すし……、その勢いで階段に突っ込んでいくし……」
「そのぶんじゃ怪我ないな?」
隆也はどきりとした。
短髪の、年齢は二十代半ばか?後半だろうか?
とても落ち着いた雰囲気が男性の周囲を取り巻いていて……。
隆也は気後れしながらも、なんとか返事を返した。
「廊下は走らないって習わなかったか?」
隆也を責めているというより事務的な口調で彼は言い、大きく息を吐いた。
「……すみません」
案の定、青年は想像につく笑みをこぼして、
「いきなり走り出すし……、その勢いで階段に突っ込んでいくし……」
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