2008 |
06,06 |
«俺色13»
「――はぁ……」
隆也は背に緊張を背負ったまま、息を吐いた。
堂々巡る自分の思考に自家中毒になりそうにもなるが、この空気に耐えるにはこれぐらい考えていないと澱んだ霊気にあてられて動けなくなりそうだった。
「……失敗したな」
隆也だけで解決できそうなら、解決して帰るつもりだったし、ダメそうなら原因を突き止めてから帰ろうと考えていた。しかし――、
――考えが甘かったようである。
とてもじゃないが、原因を突き止められる状況ではない。引き返せるかも危ういと思えてきた次第だ。原因が意思を持つ霊なら確実に隆也をこの空間に閉じ込めるだろうし、それを破るだけの霊力が隆也にあるかと聞かれたら、それについても自信はない。
進むか、退くか――、
「…………」
隆也は一旦立ち止まった。
入口には医学部とあった。なんのへんてつもない大学の研究棟である。
ただ違うのは、特段閉鎖されているわけでもないのに建物内には人一人歩いていない上に人がいる気配もないことだ。まだ、真夜中でもなく平日の午後だというのに、だ。
たぶん、自然と近寄れなくなったのだろうが、やはり――、
(気味が悪いよな……)
ここで何の研究してるんだよ……!? と生理的に眉をしかめたくなるぐらい不気味だった。
隆也は背に緊張を背負ったまま、息を吐いた。
堂々巡る自分の思考に自家中毒になりそうにもなるが、この空気に耐えるにはこれぐらい考えていないと澱んだ霊気にあてられて動けなくなりそうだった。
「……失敗したな」
隆也だけで解決できそうなら、解決して帰るつもりだったし、ダメそうなら原因を突き止めてから帰ろうと考えていた。しかし――、
――考えが甘かったようである。
とてもじゃないが、原因を突き止められる状況ではない。引き返せるかも危ういと思えてきた次第だ。原因が意思を持つ霊なら確実に隆也をこの空間に閉じ込めるだろうし、それを破るだけの霊力が隆也にあるかと聞かれたら、それについても自信はない。
進むか、退くか――、
「…………」
隆也は一旦立ち止まった。
入口には医学部とあった。なんのへんてつもない大学の研究棟である。
ただ違うのは、特段閉鎖されているわけでもないのに建物内には人一人歩いていない上に人がいる気配もないことだ。まだ、真夜中でもなく平日の午後だというのに、だ。
たぶん、自然と近寄れなくなったのだろうが、やはり――、
(気味が悪いよな……)
ここで何の研究してるんだよ……!? と生理的に眉をしかめたくなるぐらい不気味だった。
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