2005 |
10,12 |
«24»
すると、突然……簡単に読めていた奴の思考が読めなくなった。
「木魚」
――聞こえたか?
「……貴様」
「いやあ、便利だよなあ。接触読心って~」
「本心ではないなッ」
ふっと奴は笑みを消した。
「舐めんな。伊達に四百年間ヤツラ主従の気にあてられてきたんじゃねえぜ」
まあ、アイツの思考なんて見たくはないがと付け加えられて強く背を押された。
――無風に風が産まれる錯覚。澱みなく現実に関わる実感。
さあ、行くぞと誘われて共に歩みだし、先行く男の背を見て――、
ああ、そうかと清正は思った。
覗いた記憶の断片は――……。
「木魚」
――聞こえたか?
「……貴様」
「いやあ、便利だよなあ。接触読心って~」
「本心ではないなッ」
ふっと奴は笑みを消した。
「舐めんな。伊達に四百年間ヤツラ主従の気にあてられてきたんじゃねえぜ」
まあ、アイツの思考なんて見たくはないがと付け加えられて強く背を押された。
――無風に風が産まれる錯覚。澱みなく現実に関わる実感。
さあ、行くぞと誘われて共に歩みだし、先行く男の背を見て――、
ああ、そうかと清正は思った。
覗いた記憶の断片は――……。
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2005 |
10,11 |
«23»
「……」
「――まさか……」
(察しのいい奴め……)
ま、……そういうこともあるさ、肩に腕を回してきた。
励まされるように叩かれていて、案外痛い。叩かれる度に流れ込む思考は――……、
チーン……
木魚の規則正しい音。
聞き慣れたお経と
ご愁傷様という憐れみだった??が、
「……安田」
ばっと手が離れた。非常にわざとらしく……。
「――本当にそう思っているか?」
逃げた腕を強く掴み相手を振り返えらせる。
流れこんできたものがリアルすぎて確かめずにはいられなかった清正だ。
「――まさか……」
(察しのいい奴め……)
ま、……そういうこともあるさ、肩に腕を回してきた。
励まされるように叩かれていて、案外痛い。叩かれる度に流れ込む思考は――……、
チーン……
木魚の規則正しい音。
聞き慣れたお経と
ご愁傷様という憐れみだった??が、
「……安田」
ばっと手が離れた。非常にわざとらしく……。
「――本当にそう思っているか?」
逃げた腕を強く掴み相手を振り返えらせる。
流れこんできたものがリアルすぎて確かめずにはいられなかった清正だ。
2005 |
10,10 |
«22»
奴の目は行く先のネオン街へと向かっていた。すっと細められた双眸は揺るがない。
「そんなもん恐くねえよ」
あまりに無造作に頭の上の手は煙草を求めて離れていく。
「――もっとも、俺は直江と違ってやましい人生送ってないしなぁ」
「!」
思わず清正は立ち止まり、額に手をやった。
脳内を瞬時に駆け抜けていった衝撃の実体験――。
あれは……、
(――衝撃的すぎた……)
思い出して一気に脱力感に襲われない――わけがない。
二度と接触読心をしまいと固く心を誓わせた奴などアイツが初めてだ……。
「どうした?」
「そんなもん恐くねえよ」
あまりに無造作に頭の上の手は煙草を求めて離れていく。
「――もっとも、俺は直江と違ってやましい人生送ってないしなぁ」
「!」
思わず清正は立ち止まり、額に手をやった。
脳内を瞬時に駆け抜けていった衝撃の実体験――。
あれは……、
(――衝撃的すぎた……)
思い出して一気に脱力感に襲われない――わけがない。
二度と接触読心をしまいと固く心を誓わせた奴などアイツが初めてだ……。
「どうした?」
2005 |
10,09 |
«21»
相手は目を丸くする。――接触読心。
それは極めて危険な技である。技自体が反則と言っても過言ではない。触れただけで記憶を読み取れる能力。清正にその能力が備わっていると知る人物はやたらめったら自ら清正に触れてこようとはしない。誰だって知らぬ間に勝手に心を覗かれるのは嫌なものである。
「……」
始め清正が何を言いたいのか分からなかったようだが、合点いくと、少ししかめっ面をして見せた。だが、それだけだった。清正に触れる手はどけられない。
そして、驚くほど柔らな表情を浮かべて、
「――別に」
それは極めて危険な技である。技自体が反則と言っても過言ではない。触れただけで記憶を読み取れる能力。清正にその能力が備わっていると知る人物はやたらめったら自ら清正に触れてこようとはしない。誰だって知らぬ間に勝手に心を覗かれるのは嫌なものである。
「……」
始め清正が何を言いたいのか分からなかったようだが、合点いくと、少ししかめっ面をして見せた。だが、それだけだった。清正に触れる手はどけられない。
そして、驚くほど柔らな表情を浮かべて、
「――別に」
2005 |
10,08 |
«20»
――流れ込む映像。
それは茶ばね色のブレザーを着た――……。
(――……)
それは自分も知っている――今は亡き……人物。
清正は目を伏せた。
「どうした?」
「……いや」
目を上げた先に奴の視線が待っている。挑戦的で愉快そうな眼差し。
「今度はもっと早く片付けろよ」
「無理を申すなッ」
それは茶ばね色のブレザーに向けていたそれと変わりない。
清正は目を細めた。
切なくて、愛おしく――今は思い出の中にしかない倖せ。
「しかし、オマエは――」
おまえたちは――、
「わしが……――恐くはないのか?」
それは茶ばね色のブレザーを着た――……。
(――……)
それは自分も知っている――今は亡き……人物。
清正は目を伏せた。
「どうした?」
「……いや」
目を上げた先に奴の視線が待っている。挑戦的で愉快そうな眼差し。
「今度はもっと早く片付けろよ」
「無理を申すなッ」
それは茶ばね色のブレザーに向けていたそれと変わりない。
清正は目を細めた。
切なくて、愛おしく――今は思い出の中にしかない倖せ。
「しかし、オマエは――」
おまえたちは――、
「わしが……――恐くはないのか?」
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