«世界は俺色に染まる３»

だから今も店と懇意であることに変わりはないのだ。
佐々木は走りはしなかったが、かなりの歩幅で距離を稼ぎ、近道である裏道へ進んだ??が、
「？」
佐々木は違和感を感じて立ち止まった。
（……。――気のせいか……？）
人の気配を感じたのだ。あまり歓迎しない存在の気配とともに。
実は佐々木は普通の人には視えないアレが視えてしまうタイプなのだ。
「危ないッ」
「!」
そして、やはり嵐は突然やってくるようだ。佐々木は全身の毛が逆立つ感覚。ゾクリと背をわななかせて振り返った。
紙袋からオレンジが落ちる。
バサリと翻るコートが視界を奪う。