2005 |
04,01 |
«-偶然-19»
なんも用意出来ないじゃないですか、と言って??、
ずいっと眼前に差し出してきたのは、重たそうなコンビニ袋。
「……――なにこれ……」
「まんまっすよ。決まってんでしょ?」
酒です。
て、なんでそれを俺が受け取らにゃならないだ!?……いや――なんか目茶苦茶態度が受け取れって言ってっから思わず受けとっちまったが……。
受け取る必要ないだろ?
「?」
眉を潜める俺と豪岸不遜に睨みあげてくる仁王立ちの相手方。
けど、妙な沈黙が次元を歪め始めて、
「――て、今日……千秋さんの誕生日でしょ?」
「……」
え?
ずいっと眼前に差し出してきたのは、重たそうなコンビニ袋。
「……――なにこれ……」
「まんまっすよ。決まってんでしょ?」
酒です。
て、なんでそれを俺が受け取らにゃならないだ!?……いや――なんか目茶苦茶態度が受け取れって言ってっから思わず受けとっちまったが……。
受け取る必要ないだろ?
「?」
眉を潜める俺と豪岸不遜に睨みあげてくる仁王立ちの相手方。
けど、妙な沈黙が次元を歪め始めて、
「――て、今日……千秋さんの誕生日でしょ?」
「……」
え?
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2005 |
03,31 |
«-偶然-18 »
……忘れて――、
「――ねえよ」
「嘘だ!ほらまた視線そらした!」
「なッ 目線反らしたぐらいで――」
「分かりますよ!何年付き合ってっと思ってんすか!」
思わず閉口して俺は目を瞬たいた。
まさか目の前の野郎からそんな言葉が飛び出すとは思わなかった。そんなにも時間は流れて……。
「携帯繋がんないし、今日が今日だけに、まさかと思って直江さんに電話してみれば、ホントに東京戻ってるって言うし……」
相手は怒っているようであれ、情けないようであれ――、
「戻るなら戻るって本ッ当先言ってくださいよ……」
「――ねえよ」
「嘘だ!ほらまた視線そらした!」
「なッ 目線反らしたぐらいで――」
「分かりますよ!何年付き合ってっと思ってんすか!」
思わず閉口して俺は目を瞬たいた。
まさか目の前の野郎からそんな言葉が飛び出すとは思わなかった。そんなにも時間は流れて……。
「携帯繋がんないし、今日が今日だけに、まさかと思って直江さんに電話してみれば、ホントに東京戻ってるって言うし……」
相手は怒っているようであれ、情けないようであれ――、
「戻るなら戻るって本ッ当先言ってくださいよ……」
2005 |
03,31 |
«-偶然-17 »
「千秋さんッ」
「!?」
思わず俺はその声にびくりと背を揺らした。
「……――鳥越……」
奴の瞳は口が言うよりモノを言っていて……。
大股に近付いてくる相手は誰かさんを想像(おも)わせる。その眼差しは真っ直ぐに俺を捉えていて。
「……」
「……」
「……何?」
目に見えて、奴の片頬はピクリと痙き攣れた。
「『何?』じゃないでしょぉぉお!?」
自分が呼び出しておいてッ!
「……」
「あ、……今わざと目線反らしましたね。業と!」
「……そらしてねえよ」
「ア!もしかして千秋さん呼び出したこと自体――」
「!?」
思わず俺はその声にびくりと背を揺らした。
「……――鳥越……」
奴の瞳は口が言うよりモノを言っていて……。
大股に近付いてくる相手は誰かさんを想像(おも)わせる。その眼差しは真っ直ぐに俺を捉えていて。
「……」
「……」
「……何?」
目に見えて、奴の片頬はピクリと痙き攣れた。
「『何?』じゃないでしょぉぉお!?」
自分が呼び出しておいてッ!
「……」
「あ、……今わざと目線反らしましたね。業と!」
「……そらしてねえよ」
「ア!もしかして千秋さん呼び出したこと自体――」
2005 |
03,30 |
«-偶然-16 »
俺のちょっとした、本当に些細な想いにしか過ぎないが――真心込めた二枚の札。
「また来るよ」
「お待ちしております」
深々と頭を下げる店員達に背を向けて、カラリと扉を押し開く。
「……」
吸い込んだ外気には冷たさはない。
春の訪れを予感させる。
「――いや、もう春か」
店を出て階段を上りきるとそこは繁華街。行き交う人々。その中に俺も紛れる。
ウタカタの時間は終わった。それはごく有りふれた日常にすぎなくて。俺は天を仰いで目を閉じる。
季節は巡る。
――舞う花びらとあの人の微笑。
アノ季節がまたやってくる。
「また来るよ」
「お待ちしております」
深々と頭を下げる店員達に背を向けて、カラリと扉を押し開く。
「……」
吸い込んだ外気には冷たさはない。
春の訪れを予感させる。
「――いや、もう春か」
店を出て階段を上りきるとそこは繁華街。行き交う人々。その中に俺も紛れる。
ウタカタの時間は終わった。それはごく有りふれた日常にすぎなくて。俺は天を仰いで目を閉じる。
季節は巡る。
――舞う花びらとあの人の微笑。
アノ季節がまたやってくる。
2005 |
03,30 |
«-偶然-15»
俺のちょっとした、本当に些細な想いにしか過ぎないが――真心込めた二枚の札。
「また来るよ」
「お待ちしております」
深々と頭を下げる店員達に背を向けて、カラリと扉を押し開く。
「……」
吸い込んだ外気には冷たさはない。
春の訪れを予感させる。
「――いや、もう春か」
店を出て階段を上りきるとそこは繁華街。行き交う人々。その中に俺も紛れる。
ウタカタの時間は終わった。それはごく有りふれた日常にすぎなくて。俺は天を仰いで目を閉じる。
季節は巡る。
――舞う花びらとあの人の微笑。
アノ季節がまたやってくる。
「また来るよ」
「お待ちしております」
深々と頭を下げる店員達に背を向けて、カラリと扉を押し開く。
「……」
吸い込んだ外気には冷たさはない。
春の訪れを予感させる。
「――いや、もう春か」
店を出て階段を上りきるとそこは繁華街。行き交う人々。その中に俺も紛れる。
ウタカタの時間は終わった。それはごく有りふれた日常にすぎなくて。俺は天を仰いで目を閉じる。
季節は巡る。
――舞う花びらとあの人の微笑。
アノ季節がまたやってくる。
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